AV女優1万人に対して70人! AV男優という職業に迫る
男なら一度は羨んだことがあるだろうAV男優というお仕事。
しかし、当然ながら一般男性の多くは「自分にはできない」と抵抗感を持つ。
実は男性の方が女性以上に精神的にデリケートだったりして、
スタッフに囲まれた状況で性行為をすることが難しいだろうし、テクニックや持続力などの課題もある。
そしてやはり大きいのは、それを職業にしたときの社会的立場やプライドの問題だろう。
結婚して家族とマイホームで暮らすといった一般的な夢を手放すくらいの開き直りがないと、とても飛び込めない世界だ。
加藤鷹や日比野達郎などAV創世記から活躍する男優から、沢井亮やしみけんなど新世代の男優まで
総勢19名のAV男優に取材した『「AV男優」という職業 セックス・サイボーグたちの真実』(水野スミレ/角川書店)によれば、
AVの月間販売タイトルは4500本(審査団体を通したものだけの推定本数)で、
それに出演する現役AV女優はおよそ1万人だという。
一昔前のAV女優といえば、借金があるなどどこかワケありの印象だったが、
性情報が簡単に手に入る今では、ギャラ目当てではないAV女優志願者が増える一方だという。
これに対し、職業といえるAV男優は、驚くことにわずか70人。
単純計算で1日150本ものAVが制作されているわけだから、
売れている男優になると1日2現場、3現場ということもあるという。
こうなってくると、とても普通の男性には真似できない。
AV業界は2003年頃からインターネットの影響などにより、薄利多売のデフレスパイラルに陥った。
爆発的に制作本数も増え、限られた予算、限られた時間で撮影しなければいけなくなったのだ。
つまり精力に自信があるだけでは務まらず、現場スタッフの一員として手際よくセックスをするプロの技術が求められる。
また、月に最低1回の性病検査も必須。
AV男優にとっては「血統書」みたいなもので、これがあるから安心して仕事が頼めるわけだ。
本書では、普段あまり聞くことのない彼らの本音に迫っていて興味深い。
まず、職業として気になるギャラだが、昔も今も変わらず一現場5万円が相場。
大変ではあるが、1日2現場こなせば10万円という高収入だ。
カリスマAV男優の加藤鷹くらいになると、男優での過去最高年収が2500万円、
これまでのセックス経験人数が推定8000人というから、生涯賃金はプロスポーツ選手並だ。
「数をこなせば女がわかるか?」という問いについては、「わかんないからこの仕事をやってるわけで。
やってもやってもわかんないからさ」と加藤鷹は答える。
風俗のルポマンガでも知られる平口広美は「……信用しなくなりますね。
なに考えてるのか読めちゃうと、だんだん女性不信になりますよね」と言い、
AV男優はみな「わからない」「こわい」と口をそろえるのだ。
「仕事とプライベートは違うのか?」という問いでは、「一緒」と言う意見と「違う」と意見にきれいに分かれた。
一緒だという男優は、「本質的には同じ」といった意味合いで、
平本一穂のようにたとえ一期一会のセックスであっても、
どこかしらいいところを見つけて「相手を好きにならないとできないから」という思いがあるようだ。
「違う」と答えた男優は、やはり人に見せるためのものと秘め事との違いを言う。
仕事のカラミでは撮影しやすい体位や収録時間、女優の持っていき方などを常に意識しているが、
プライベートであんな派手な体位をすることはないという。
また、若手男優のしみけんのように、現場で「ガツガツ感」を出すために、
プライベートでは性欲を抑え込んでいるというストイックな男優もいる。
いかなる状況でも、女優の好みを問わず、監督の要求に(下半身で)応えて
最高のパフォーマンスを見せなければいけない縁の下の力持ちとしてのAV男優。
学歴や職歴を問われるわけでもなく間口は広いが、職業として継続していくとなると、
本人の資質と探究心が問われる狭き門なのかもしれない。
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20130709-00002457-davinci-ent